グランドセイコーは「正確なデバイス」という工業的価値ではかる段階にはもはやなく、日本の自然観を宿す文化的装置としての地位にある。スイスの時計が数学的で構築的な美しさを目指しがちなのに対し、GSの根底には移ろいゆく季節や自然の情景への畏敬の念がある。今年の新作群を眺めても、そのプロトコルの濃度を最大限に高め、自己表現力を強化した、無二の個性を主張する姿がみてとれる。